「視察」カテゴリーアーカイブ
加古郡リサイクルプラザにて
小樽市役所で観光振興について勉強させていただきました
小樽市役所で観光振興について勉強させていただきました。小樽は、アイヌ語で「オタオルナイ」(砂浜の中の川)と呼ばれていたことに由来するといわれています。今から約380年前に松前藩の商場が置かれ、やがてニシン漁業を生業とする集落が形成されました。明治時代になると開拓移民の上陸基点となりました。やがて国際貿易港として石炭、雑穀などの輸出が盛んになり、多くの金融機関が集まりました。当時小樽の穀物相場がロンドン相場に影響を与えるほどの経済力を誇っていました。太平洋戦争後、経済情勢や流通手段が大きく変化し、大手都市銀行の支店が次々と撤退しました。経済の復興を図るために小樽駅前再開発事業などの施策が進められました。また歴史、地域の特性を活かしたまちづくりを進めて来たことにより多くの観光客が訪れる観光都市として賑わいをみせています。この観光施策として以下の点に感銘を受けました。①陸上運輸に押され利用頻度が低下し、かつ水質が悪化した運河を埋め立てるか否かという運河論争を契機に、運河の役割を見直し、観光都市として発展して来たこと。その過程において元々活発にお祭りの運営に貢献していた地元の個人や団体が都市の発展のために積極的な役割を果たしたこと。②厄介ものであった積雪を逆手にとり「小樽雪あかりの路」というイベントを開催して観光振興を図っていること。
札幌市で「地域公共交通政策について」勉強させていただきました。
札幌市で「地域公共交通政策について」勉強させていただきました。そこでは以下の点を学ばさせていただきました。①札幌市では公共交通体系整備の努力により、市街化区域のほぼ全域において公共交通で移動することが可能である。公共交通空白地域は0.4パーセントしか無い。②昭和5年から、74年間に渡り利用されてきた札幌市営バス事業は廃止され、札幌市のバスネットワークは全て民間事業者によって維持されている。この民間努力により業務の効率化、サービス維持が図られているものと思われる。ただし市営バスは多くの不採算路線を抱えており、民間への路線移行にあたっては財政的支援が課題となる。③札幌市のバス利用者数は低迷しており、民間バス事業者が自主的にバス路線を維持していけるような枠組みの構築が必要である。そのため札幌市バス路線維持基本方針を策定し、バス路線維持に係る補助制度を構築した。
札幌市役所で「6次産業化の取組みについて」勉強させていただきました。
札幌市役所で「6次産業化の取組みについて」勉強させていただきました。以下の点を学ばせていただきました。①北海道は豊かな農林水産資源に恵まれている。このために、食料自給率はカロリーべースで全国で一番である。しかし粗付加価値率は全国と比べ低い。その理由は大量の農林水産物を加工せずに販売していることにあると考えられる。ただし札幌市に限ると粗付加価値率は全国よりも高い。このことからも高付加価値の加工物を自ら製造販売することの大切さがわかる。②札幌市内は、食料製造業者、卸小売業者が集積している。このことから優れた加工技術、幅広い販売ネットワークを形成しており6次産業化推進の素地があるといえる。③札幌市の6次産業化推進事業の目的は道内の農水畜産資源の高付加価値化と食産業の活性化にある。そしてその内容は、新規開発補助金、マッチングイベントやセミナーの開催、コーディネーターによる相談対応、企業連携促進支援である。対象となる事業は北海道の農畜水産物を活用した新食品開発等を行う事業である。補助対象者は、札幌市内事業者を代表者とする北海道内の2次産業者と3次産業者によるコンソーシアムである。補助額は上限400万円、補助率は補助対象経費の3分の2以内、補助件数は5件程度である。対象となる経費は事業実施に必要となる経費であり、人件費等も含まれる。審査基準は計画の実現可能性、商品の市場ニーズ優位性等である。④これまで開発された商品の売上額は約9.7億円であり、補助金交付額の約9倍の実績をあげている。⑤ヒット商品の例として「北海道産生乳と砂糖のみで仕上げた飲むヨーグルト」が上げられる。この事業の概要は、小林牧場の高品質生乳を新札幌乳業のヨーグルト発酵技術で付加価値を高め、北関東エリアで対面販売網を有する北酪乳販売と共に販売展開を推進したというものである。⑤現在の課題は商品開発後の販路開拓拡大である。そのためには補助対象者、対象経費等の補助要件の見直し、バイヤーと連携した商品開発支援、コーディネーターによる企業への訪問活動の継続により企業の収入増加、雇用促進を図ることによリ地域経済を活性化する必要がある。
室蘭市役所で産業振興について勉強させていただきました。
室蘭市役所で産業振興について勉強させていただきました。そこでは以下の点に感銘を受けました。①室蘭市は、製鉄所の城下町として繁栄したが、現在の人口は最盛期から半減している、②新規の企業誘致のみならず、地元に根ざした鉄工所等が持つ技術力を活かして航空機産業、宇宙産業等今後の成長分野に活路を見出すべく努力している、③スモールスタートでも良いから新規成長分野に挑戦する、④地元の産業界、行政、大学、金融が連携して新しい仕事を創り出す覚悟を持つ、⑤挑戦マインドを持つ企業に対して重点的にバックアップする、⑥企業誘致と当該分野の人材育成を車の両輪として進めて行く、⑦長い目を持って成長分野を見つけ育成していく、⑧成長分野を発見、誘致する優秀な目利きを全国の自治体に派遣する。
北海道PCB廃棄物処理施設
北海道PCB廃棄物処理施設で勉強させていただきました。そこでは以下の点を学ばさせていただきました。①この施設を運営しているJESCO中間貯蔵環境安全事業株式会社は、PCB廃棄物の処理を行うため2004年に100パーセント政府出資により設立された。②PCBとはポリ塩化ビフェニルの略称であり、工業的に合成された化合物である。③電気絶縁性が高い、燃えにくい等の化学的に安定的な性質を持つことから、電気機器の絶縁油、熱媒油、潤滑油、ノンカーボン紙等様々な用途で使用されてきた。1968年に発生したカネミ油症事件を景気としてPCBによる人体への影響が問題となり、難分解性、高蓄積性、長期毒性等の観点から1974年に製造や新たな使用が禁止された。④当施設では国が定めたPCB廃棄物処理基本計画に基づき、安全確実な無害化処理を行っている。全国には同様の施設が、他に4施設存在している。当施設は他の施設で得た実証データーを活用して設立された。そのため大きな事故も無く安全に運営されている。⑤当施設は当初処理施設と増設処理施設からできている。当初処理施設の処理対象物は、高圧トランス、高圧コンデンサ、PCB油である。他方、増設処理施設の処理対象物は安定器、感圧複写紙、小型電気機器、運転廃棄物等である。当初施設ではPCBにナトリウムを混ぜ、ビフェニルと塩化ナトリウムに分解することにより無害化する。増設処理施設にあるプラズマ溶解分解炉は15,000℃以上のプラズマを照射してドラム缶ごと溶解しPCBを分解する高性能の炉であり、一基約120億円と高価なものである。いずれの処理施設においても卒業判定を行うことにより無害化されたことを確認する。⑥安全確実な処理を行うために、オイルパン、漏洩検知器、床面における浸透防止対策、隔離作業手袋、保護具等の配慮がなされている。さらに処理施設内空気を減圧することにより、万一壁面が破損しても外部汚染が起こらないようになっている。⑦さらにまた高潮対策のために施設全体が、過去の最高潮位よりも約3メートルかさ上げされている。⑧見学ルート、情報公開ルーム等積極的に情報を行うことにより安心感、信頼を醸成している。
富山県庁視察
大分大学教育学研究科教職大学院視察調査研修報告書
大分大学教育学研究科教職大学院視察調査研修報告書
第1 視察(調査)項目
インターネット、AIなどのテクノロジーの急激な進歩、およびグローバル化により全く新しい人類社会に入りつつある。この従来の常識が通用しづらくなった現代社会において、子どもの教育環境についても再考する必要がある。具体的には学校、家庭のみならず地域が一体となって連携協力しあい、子どもを育てる必要性が高まっている。いわゆる「協育」と呼ばれるものである。
そこでこの分野の研究をされておられる大分大学名誉教授、教育学研究科教職大学院特任教授の山崎清男先生にお話を聞かせていただいた。
第2 復命事項(所見及び感想)
1 「協育」に関する研究を始めた経緯について。
知は命題知と経験値に分類することができる。
命題知は数値化言語化できる知識を意味する。他方、経験値は経験に根差し、数値化、言語化することが難しい知を意味する。
例えば300グラム足す200グラムは500グラムになる、または燃焼のためには酸素が必要であるというのが命題知である。他方500グラムの重さの実感または、効率的に酸素を取り込み燃焼作用を活発化させるキャンプにおける炉の組み方を経験値という。
社会性などは経験値に依存する側面が大きく、他者とのかかわりの中で身に着ける必要がある。
この意味において、地域の様々なバックグラウンドを持つ方々との交流が子どもが社会性を身に着けるために不可欠である。
このことを深めるために、様々な関係者の協力のもと子ども達を育成する「協育」に関する研究を始めた。
2 「協育」に関する研究を始めた社会情勢について
⑴ かって我が国では学校と地域・家庭が密接であった。たとえば子どもが悪いことをすると、教師や保護者のみならず、近所の大人たちも遠慮なく叱ったり、親が多忙の際は、子どもは、よその家に上がり食事をしたりしていた。
しかし、みだりに私生活を知られたくないというプライバシー意識の高まりや、共働き世帯の増加により、学校、家庭、地域の関係が希薄化し、地域で子どもを育てることが難しくなってきた。
また食品添加物などの影響により集中力が低下し、授業中落ち着くことができず、教室の床に転がる児童などもいる中、多数の児童を一人の教員が教えることは困難である。つまり学校が学校として成り立たなくなってきた現状がある。
⑵ また教育行政は強制力を行使できる権力的行政ではない。したがって給食費の集金一つにしても学校のみに責任を押し付けることは負担が過重となり、妥当でない。
⑶ さらに団塊世代の大量引退により、教員の年齢構成がいびつな形となっている。これに対応するために新卒教師を大量採用することによる弊害も指摘されている。つまり教員採用試験の倍率が3倍以下になると教員の質が下がるという研究結果も出ているなか、小学校教員採用試験の倍率は1倍台となっている。
また新任教員を大量採用すると、この世代が管理職になると逆ピラミッドのいびつな人口構成となってしまうため慎重に考える必要がある。
⑷ さらにまたコミュニティスクール制度や教育学修士課程が創設されたが、なかなか効果が出ていないという現状がある。
⑸ 以上のように学校だけでは、子どもの教育を十分に行うことは難しいことから地域、学校、家庭が協力して教育効果を高める研究を行っている。
3 加古川市のこれからの「協育」について
社会が高度化複雑化するなか、従来の対応では、子どもの健全育成は難しくなっている。学校、地域、家庭が協力して新しいシステムを構築する必要がある。市民性、地域性に応じて加古川市独自の新しい「協育」システムを構築したい。
例えば、小学校でも教科担任制が採用され、英語教育が始まる。これにともない本物の英語の発音を身につけている市民の協力が必要となる。
加古川市においても、この分野で秀でている人材は少なくない。しかし、彼らに十分な活躍の場が与えられていないのが現状である。
このような地域の人的資源を掘り起こし、「協育」への協力を依頼すべきであろう。
4 いかにして地域の人的資源を掘り起こすかについて山崎先生からのアドバイス
教育委員会がファシリテーターとなり、PTA、校長、自治会長を集め人的ネットワークを構築することが大切である。
このようなシステムをつくりたいと誰かが呼びかける必要がある。
議員にこの役割を果たしてもらいたい。
5 取組み自治体の事例について
長崎市、佐伯市、豊後高田市などが積極的に「協育」に取り組んでいる。
過疎化が進んでいる自治体が危機意識をもって取り組んでいる。
加古川市は全国でも有数の転出超過が続いている。
したがって強烈な危機意識をもって「協育」にとりくむ必要がある。
6 ボランティアで協力する個人や事業所の拡大方法などについて
各種企業組合、医師会、弁護士会、行政書士会など各種職業団体に協力要請すると効果的である。
7 最後に
私は地元の子供食堂のお手伝いをさせていただいたり、小学生に職業体験をしていただくイベントのお手伝いをさせていただいている。
そこには地域の様々な特技をもっておられる方々が参加されておられる。これらの方々はまさに地域の貴重な人的資源といえる。
現状はこのような地域がもつ潜在的な力が十分に活用されているとはいいがたい。団塊世代が大量に退職し、様々な分野のエキスパートが地域にその才能を発揮することなく埋もれている。いまこそこれらの方々を巻き込み、PTC(Parents Teacher Community)親、教師、地域社会の連携を強化し、この状況を少しでも改善したい。
ただし私生活を他者によって干渉されたくないというプライバシー権や教育方針の決定という自己決定権の要請も無視することはできない。
新しい時代にふさわしい上記各利益の適切な調和が求められている。
以上