【入学式で挨拶をさせて頂きました】
新入生の皆様、保護者の皆様、ご入学おめでとうございます!
ご紹介にあずかりました加古川市議会議員の柘植厚人です。
今回、祝辞を依頼されてこの学校の素晴らしさについて改めて考えてみました。
そして有名な壺の話を思い出しました。
ここに大きな壺があると仮定します。
この壺に入るだけ大きな岩を入れます。
これ以上物は入らないように見えます。
しかし砂利を入れると岩の隙間に入っていきます。
砂利を限界まで入れると、もうこれ以上物が入らないように見えます。
しかし砂を注ぐと砂利の隙間に入って行きます。
この話の教訓はなんでしょうか?
「もうこれで限界のように見えてもそうではない」でしょうか?
それも大切な教訓かもしれません。
しかしここで私が新入生の皆さんへ送りたい一番の教訓は、「大きな岩は始めに入れないと入らない」ということです。
始めに砂利、砂を入れると本来この大きな壺に入ったはずの量の大きな岩は入らないのです。
ここでいう大きな岩とは、自分の人生においてとても大切で出来るようになるまでに時間がかかるものをいいます。
砂とは、さほど大切ではなく、且つすぐに出来るようになることをいいます。
自分の人生において大切かどうかは、皆さんが大好きで、得意で、それが出来るようになったことを想像するとワクワクするかによって判断できます。
この大好きで得意で心がワクワクすることは、皆さんの人生を助けてくれます。
たくさん興味関心があって一つに決まらないことを恐れる必要はありません。
これからの時代は自分の好きが仕事につながる時代です。
たくさんの好きと好きを掛け合わせるとそれがいつかあなただけのオリジナルになるのです。
この学校は、周囲の高校と比べ、決められたカリキュラムは少なく、潤沢な自由時間が学生の皆さんに与えられています。
この学校の素晴らしさは、その自由時間を各自が心から興味をもったことに費やすことができるという点です。
しかも親御さんが働いてくれているおかげで、皆さんは心から興味を持てることに集中し時間を費やしながら学ぶことができるのです。
この学校だからこそ与えられる非常に恵まれた3年間に皆さんの心という大きな壺に出来るだけ大きな岩をできるだけたくさん入れて欲しいのです。
何が大きな岩かは人によって異なっても構いません。
世の中の常識や「こうあるべき」と言った枠にとらわれる必要もないのです。
皆さんよりも少し先、いや随分先かもしれませんが、先に社会人になった者として、仕事や家庭を持つと自分のためだけに使える時間をもつことは難しくなることを痛感しています。
この三年間を大切に自分の心がワクワクする気持ちに従い、それらに手当たり次第没頭してください。
自分の大好きな事、心から楽しめることを大切に、自分の時間は限りあるものだと考えて行動する。
永遠に続くように思える学生時代も必ず終わりが来るのです。
人生に無駄なことは何一つとして無いと信じて限られた時間にできるだけ心をこめて興味関心に没頭してください。
それがいつか必ずつながり将来あなたの人生を切り拓く夢のたねとなり、
仲間の心に対する想像力、共感力を持った豊かな人間性を創り、
愛する人と出会い幸せな人生を送るための心の支えとなることでしょう。
自分の未来は自分自身が創るのです。
最後に、iPhoneを作った、スティーブ・ジョブズが語った言葉で私からの祝辞を終わりたいと思います。
「君たちの時間は限られている。
だから無駄に誰かの人生を生きないこと。
最も大事なことは、あなたの心や直感に従う勇気を持つことです。
それら内なる声、心、直感は、君が本当は何になりたいのか、すでに知っているのです」
「演説」カテゴリーアーカイブ
本日は、人間は老化により生殖能力を失った後も長く生きることができる珍しい生き物であることに関連して私のこれまでの人生において強く印象に残っている幸せな記憶について演壇させて頂きました。
人間は他の生物に比べて成熟するまでとても長い年数が必要です。
例えば馬などは、生後すぐに歩き始め、捕食されそうになれば逃げることができます。
しかし人間は生後一年たっても敏捷に動くことは出来ず、己の身を守ることは難しいです。
そこで祖父母が未成熟な孫を守ることにより、両親が農作業や狩猟採取など食糧の確保に勤しむという効率的な分業体制が確立されていったとの説があります。
この説を聞くと、私が幼いころ、寒い冬の夜、伊勢市の母の実家で眠りにつくとき、冷気が布団の中に入ってこないように祖母が掛布団の身体にそった部分をポンポンと優しくたたいてくれた幸せな感触を思い出します。
その心温まる感覚は40年以上経過した今も私の心にほのかに残っています。
この思い出は、私にとって祖母が残してくれた最も価値のある財産だと思っています。
私もこのように、いつまでも暖かい幸せな記憶として残る財産、世代を越えて受け継ぐことができる優しい文化を次世代に継承していきたいと思います。
両親を始めとする御先祖様が築いてきた優しく愛情深い家庭の雰囲気や、友人など周囲の素晴らしい方々との交わりのなかで自然と自他を大切にしてしまうところに善の本質があるということに関して演壇させて頂きました。
我々の数十年の儚い人生の前後には、誰しも大気であり、雲であり、雨であり、土壌であり、川の流れであり、大海でり、宇宙そのものである悠久の時間が存続します。
そう考えると自分さえ良ければ良いという利己的な気持ちは静まり、全ては一つであり、あらゆる事象に対する感謝と愛の気持ちが湧き上がってきます。
またこの想いを我が息子をはじめ、あとをついでくれる若い人々に伝えることが自分の責務だと思います。
今日も全ての人にとって愛に溢れた素晴らしい1日になりますように。
※写真は過去のものです。