【質問事項1】
大項目 市立小中学校教員の過重労働について
質問の背景 市民の方から加古川市立中学校教員の過重労働についてご相談を受けた。そのご相談をきっかけに教員の過重労働問題に関して様々な調査を行ったところ、教員の業務があまりに多忙でじっくり児童、生徒と向き合うことが難しくなっていることや、教員自身の心身の健康や家庭を良い状態に保つことが困難になっている現状が見えてきた。
文部科学省の教員勤務実態調査において、公立学校の小学校教員と中学校教員の時間外労働の実態が明らかになった。これによると前者の3割、後者の6割が「過労死ライン」である月80時間を超える時間外労働を行っている。国際教員指導環境調査報告書によると、日本の小中学校教員の1週間あたりの勤務時間は、OECD加盟国等48カ国・地域の中で最長とされている。この長時間労働の原因はどこにあるのか。まず第一に教員に求められる業務が年々増加していることが原因として考えられる。中学校給食開始にともなう食物アレルギーへの配慮、GIGAスクール、ダンス、小学校における英語教育など時代のニーズに対応して新しい業務が始まる一方で、大胆な棚卸を行い優先度の低い業務を削減することを怠ってきたことが原因と考える。第二に、地域コミュニティの希薄化や、共働き世帯の増加に伴い従来地域や家庭が担っていた教育力が低下し、その穴埋めを教員が担わざるをえないことが原因であると考える。さらに第三として、教職員給与特別措置法に原因がある。同法によると教員は給料に月額の4%分を上乗せして支給されることと引き換えに、休日出勤や残業に対する賃金は支給されないことになっている。つまり制度上教員の業務時間増加に伴い残業代が発生する仕組みになっていないことから、勤務時間の管理が不十分でいわば「定額働かせ放題」となっていることが原因と考える。このように教員は時間的、精神的余裕がなく、このことがいじめ問題を見落としたり、的確な指導をすることを困難としている可能性がある。つまり教員の過重労働問題は児童生徒の生命、身体の安全を脅かす恐れもある。そこで教員の過重労働の是正を検討する前提として、加古川市立小学校と中学校における教員の過重労働の実態および原因を把握する必要がある。さらに教員の過重労働を是正するためには、教員数を増やす、業務を減らすなどの方法が考えられる。これらは教育予算や教育カリキュラムとの関係で政策的に実現可能性を検討する必要があることから以下の質問をする。