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三島市 香取市 四日市市 視察報告
三島市出張調査研修報告書
第1 視察(調査)項目
三島市でガ-デンシティプランの視察をさせていただきました。以下の点に感銘を受けました。加古川市でも見習いたいです。
第2 復命事項(所見及び感想)
1 所見
・このプランは水と緑と花で三島の魅力を高め、誰もが三島に住みたい、訪れたい、と感じてもらえる街創りを市民、NPO、事業者、大学・研究所、行政・学校が協働で進めていこうとする取り組みである。
・このプランにより地域活性化、産業振興、地域の絆創りを目指している。
・市は花壇等の整備補助をするが市民が主体的に維持、管理する。
・月一回の清掃活動に20名以上の市民が集まる。
・ごみ拾いが文化として根付いている。
・イベント時には100名ほど清掃ボランティアが集まる。
・市外からも清掃活動に来る人々がいる。
・ごみの不法投棄し難い雰囲気が醸成されてきた。
・商店街の空き店舗が一桁しかない。
・市内で商売をしたいという問い合わせが市外から来る。
・元々市内にあった水路を最大限活用して雰囲気のある町並みを形成している。
・他の自治体との差別化をはかるため、三島らしさを出したい。三島市の魅力的な点と点を結び線としていきたい。
2 感想
その地域の人々が、地域の特性に着目して、どうすれば自分たちの社会が居心地の良いものになるのか、その思想や哲学が問われています。
以上
香取市出張調査研修報告書
第1 視察(調査)項目
香取市で、かとり縁結び大作戦の視察をさせていただきました。これは香取市が主導するお見合い施策です。
復命事項(所見及び感想)
1 所見
⑴ かとり縁結び大作戦は以下のような施策です。
・香取市は毎年約1000人のペースで人口が減少し、平成30年4月現在の人口は77536人である。
・香取市は近隣の成田市、鹿島市に比べ財政的に恵まれておらず、かつ新婚夫婦が新築するにあたり地価が特に安いわけではない。したがって何らの策も打たなければ急速な縮小が続くと予想される。
・香取市は東京まで一時間以上かかるためベッドタウンとして人々が集まることは期待し難い。
・香取市の若者達は給料の高い職を求めて東京に流出する傾向にある。※やはり市内に十分な給料を頂ける、魅力的な職がなければ根本的な課題解決は難しい。
・この状況に対応して平成23年度から婚活支援事業を始めた。
・実行委員会は商工会議所青年部、農協、庁内関係各課からなる。
・予算規模は平成30年で2346千円。
・創意工夫を凝らした様々な婚活イベントを実施している。例えば旅行好き、神社仏閣巡り好き、猫好き、スイ-ツ好き、再婚希望者、マスオさん希望、40歳以上等、特定の属性の男女を集める。
・ハロウィンコスプレ、吉本芸人による司会、工芸体験、葡萄狩、講演等楽しい婚活イベントを開催する。
・平成29年度イベントにおけるカップル成立数合計68組。※ここでカップルとは連絡先を交換した者同士も含む。
・平成29年度イベント参加者累計男210人、女151人、合計361人。
・平成29年度イベント開催回数12回。
・過去全てのイベントでのカップル成立数377組。
・会員同士の成婚数32組。
・会員で結婚に結びついた数83人。
・イベントにおけるカップル率23.66%
・イベントにおける成婚率2%
・カップル数に対する成婚数の率8.48%
・産まれた子どもの数14人※以上のデ-タは担当課に報告があった数のみであり、実際にはより大きな効果を上げている可能性がある。
・イベント参加者で次回のイベントに参加したいと回答した割合95.8%
⑵ 課題
・新規会員の獲得。女性のイベント参加者が募集数に満たない。※女性から「本気で結婚相手として考えられる男性が少ない」との厳しいご意見もいただいた。
・運営主体について、業務委託などの検討。※施策全体を民間委託できるほどの費用をかけられない点も課題。ただし個別イベント単体での民間委託をし、その経験を市職員がフィードバックしている。
・香取市内に結婚披露宴会場や産婦人科がない。
・結婚希望者にアドバイスを行い、サポートするしあわせサポーターの育成、有効活用が必要。保険会社の営業職の方々等の御協力を求めればウィンウィンの関係を築けるのではないか。
・イベントに参加するものの、周囲と良好な関係を築き、積極的に楽しめない方々がおられる。自己肯定感回復のためのカウンセリング等が必要と考える。
⑶ 今後の展開
・新規の会員を獲得するための広報・宣伝の充実。病院、介護施設、市役所、地元大学等未婚女性が多い場所への広報活動が有効ではないか。
・より結婚に繋がるイベント・セミナー等の検討。
2 感想
晩婚化、非婚化、少子化の理由は低収入、職の不安定性、子育ての不安、住宅ローンの不安、教育費の不安、独身の気楽さ、等多様です。したがって単なるマッチングにとどまらない切れ目のないその後の安心感を提供する施策が必要であると考えます。
以上
四日市市出張調査研修報告書
第1 視察(調査)項目
四日市市でNPOバスの視察をさせていただきました。
これは既存バス会社が廃止撤退した赤字路線を地元住民が立ち上げたNPO法人が復活させた事業です。
第2 復命事項(所見及び感想)
1 所見
この事業には以下の特徴があります。
・既存のバス路線の廃止により買い物や病院にいく手段がなくなった地元住民の要求に応えるため始まった。
・地元住民の一人がキ-マンとして設立運営している。
・200〜300メ-トルおきにバス停があり長距離を歩けない方々にとって利便性が高い。
・一日4〜5往復しており、比較的幅広い時間帯に利用できる。
・多少遠回りになっても網羅的に地域を回るように路線設定をした。
・廃止前に比べて利用者が約三倍まで増加した。
・乗車賃は一律100円であり、低料金で利用できる。
・市の補助金のみならず、バス路線上にあるス-パ-や病院等地元企業が協賛金を出している。このため運賃を低廉に抑えてある。
※平成29年度の実績は以下の通り。
運賃収入1,150,170円、協賛金収入5,640,000円、市補助金5,130,000円、以上の収入計11,920,170円、運行経費10,260,000円。
※このス-パ-は自ら単独でバス路線を維持するよりも低コストで買い物客を集めることができる。
・このス-パ-はバス路線における最後の停留所であるが、停車時間は約一時間と長めにとることによりゆっくり買い物をした後帰宅できるようになっている。
※この停車時間中バス車内に荷物を置きっぱなしにすることができるため、身軽な状態で買い物を楽しめる。
・現在ピ-ク時の56%まで利用者が減少していることが課題。
・無料傘の貸出しや、乗下車時の段差を少なくするためのステップを設置する等きめ細かな配慮がなされている。
2 感想
・市民の創意工夫によりバス会社が匙を投げた路線を蘇らせた点加古川市でも見習いたいです。
・バス車両と運転手は既存バス会社から借り受けています。したがって既存バス会社とス-パ-等地域の企業と地域住民の三方善しの関係が構築されているいます。
・一人のキ-マンの尽力に頼っているため、後継者を育成しなければいずれ立ち行かなくなるおそれがあると感じました。
・絶えず協賛企業を開拓し続けなければ大口協賛企業の撤退により現在の低廉な運賃でのサ-ビス提供が難しくなります。
・高齢者の外出を促すことにより健康維持、友達づくり、コミュニティづくりに貢献している点に感銘を受けました。
・最大のコストは運転手の人件費です。したがって自動運転の実現が当該事業存続に不可欠と考えます。
・利用者が減少していることから、車両更新時にはジャンボタクシー等も視野に入れる必要があります。
以上
昨夜遅くまで看板設置に御協力くださった方々、設置場所をご提供くださった方々ありがとうございました。本日から三島市、香取市、四日市市の視察に行って参ります。
明石市出張調査研修報告書
別紙
明石市出張調査研修報告書
第1 視察(調査)項目
加古川市においては、2020年夏に市立小学校・中学校にエアコンを設置することが決まりました。しかし、幼稚園、保育園に関してはまだ未確定な状況です。確かに遊戯室にはすでにエアコンが設置されています。しかし保育室には設置されていません。幼稚園児・保育園児は小中学生に比べて身体が未発達であり、体温調整機能が劣り、より外温の影響を受けやすいため、エアコン設置の必要性は高いです。
また、近隣の播磨町では2018年冬までに、稲美町では2019年9月までに保育室にもエアコンを設置する予定です。これら近隣市の動向からも加古川市は具体的な設置計画を立てる必要があると考えます。
この問題意識から、エアコン設置について先行している明石市の状況を視察いたしました。
第2 復命事項(所見及び感想)
以下は私の事前質問書及び現場における質問事項と、それに対する明石市ご担当者様の御回答です。
1 エアコンの設置時期について
⑴ 小中学校
平成28年から平成30年度
※まず遮音性が要求される音楽室から順次設置した。
※コンピューター室はすべて設置済。
※図書室における設置はこれからの課題。
※教室の位置・状況に応じて、ビルマルチ方式とパッケージ方式を使い分けている。
※南北棟と東西棟でエアコン設置の緊急性が異なることにも配慮した。
⑵ 公立幼稚園・保育園
平成30年度から平成31年度
※預かり、三歳児保育を始めた。
2 設置台数
⑴ 中学校
普通教室242教室、音楽室13教室の計255教室
小学校
普通教室576教室
⑵ 公立幼稚園・保育園
・市内27園すべてにおいて、大保育室、および保育室2室(預かり保育、3歳児保育)について設置を進めている。
・一般の保育室については1室につき1台の空調機を設置。
・大保育室については、該当室の面積、天井の形状等に応じて2台から4台の空調機を設置。
3 設置費用について
⑴ 小中学校
平成28年度:455,384千円(255教室)
平成29年度:631,405千円(358教室)
平成30年度:471,555千円(218教室)
⑵ 公立幼稚園・保育園
平成30年度 予算額:60,780千円
※備品購入費のうち、空調機本体のみ。
※預かり、三歳児保育を始めため、これまで物置等として使用していた教室の床、カーテン、備品整備費が別途必要になる予定。
4 設置方式について
⑴ 小中学校
国の補助金の活用を大前提としていたため、直接施工方式。
※PFI(Private Finance Initiative)も検討したが、大型PFIの経験がなく、コンサルの力を借りる必要が生じたため却下した。
⑵ 公立幼稚園・保育園
備品購入費で設置。
5 設置後のメンテナンス費用について
⑴ 小中学校
・1年間のメーカー保証のあと、機器保守契約を結んでいる。
・中学校は、平成30年度において年額2,268千円で契約。
⑵ 公立幼稚園・保育園
・設置後、不具合があった場合は、その都度、修繕費で対応予定のため未定。
6 ランニングコストについて
⑴ 小中学校
・動力については、原則ガス方式を採用。
・電気代はスイッチ類のみのため、把握が困難。
・ガス使用料金については、平成29年度実績(H29.4~H30.3)で中学校が8,425千円。小学校について年間を通しての実績はまだない。
・ガス使用料金について大阪ガスと小型空調契約を行っており、空調専用のメーターを設置し、使用料に基づく料金体系でガス使用料金を支払っている。この契約では、通常の使用料金より割安になっている。
※3.11の震災後、電気供給の不安定さを考慮して計画変更があった。
※魚住小学校はガス管が届かないのでLPガス方式にするなど地理的状況に応じて創意工夫している。
※音楽室のように離れた教室は単独電気方式。
※耐震化、バリアフリー、エレベータ設置、トイレの洋式化などとの関係で、限られた予算を費用対効果の観点からやりくりしている。
※イニシャルコストではガスと電気で違いはない。しかし、ランニングコストについて、電気の不安定性に鑑み、原則ガス方式とした。
⑵ 公立幼稚園・保育園
・電気代については、空調機のみの個別メーターでないため、園全体の電気代での比較しかできないため、電気代の前年比増が、新たに設置した空調のためかどうかは一概に言えない。
7 教室の使用頻度に応じて設置時期や設置の有無にメリハリをつけているか
⑴ 小中学校
・主に普通教室への整備のため、使用頻度に基づいた整備は行っていない。
・普通教室は、設計する年度の5年後までの児童生徒数推計に基づき、最大のクラス数で設置。
※確かに児童数減少傾向の学校もある。しかし、大久保や西明石の北部は開発が行われ、児童が増加傾向にあるため将来予測が重要になる。
※一時的な人口増加に過度に対応することは財政の健全性維持の観点から問題がある。
したがってリース方式のプレハブ校舎建設により将来の少子化に備えている。
・中学校は、ブラスバンド等の音楽活動による近隣への影響を考慮し、まず音楽教室に空調整備を設置した。
⑵ 公立幼稚園・保育園
・平成30年度から3歳児保育及び預かり保育を行う園については、保育室、及び大保育室に各1室の空調機を設置(設置園数:5園)。
・平成30年度から預かり保育を行う園については、大保育室に空調を設置(設置園数:13園)。
・各園から運営状況をヒアリングし、設置する保育室や設置時期等について協議している。
8 設置に至る経緯(賛成派、反対派それぞれの具体的な意見等)
⑴ 小中学校
・市議会各会派からの設置要望
・校長会等、学校職員からの設置要望
・住民からの設置に関する問い合わせ
※要するに関係各者からの反対はなかった。「教育環境を充実することにより、周辺市町村から子育て世代を集めても、市内に大学がないことから高校卒業と同時に市外に転出し、将来の明石市の納税者になってくれない」との意見は、教育委員会には来ていないとのこと。
⑵公立幼稚園・保育園
・「待機児童完全解消プロジェクト」の一環として、市立幼稚園の空間を活用し、3歳児保育や預かり保育事業について、平成31年4月に実現可能な園すべてに拡充するという方針のもと、その拡充に伴う施設整備事業として、各園において3歳児保育や預かり保育を行う保育室等へ空調機を設置することになった。
9 設置に関して、議会、住民、首長等の関係者の理解賛同を得るための経緯・工夫について
⑴ 小中学校
・議会に対しては、まずは子どもたちが主に利用する普通教室への設置を進め、特別教室については、利用状況等を確認しながら検討することで理解を求めた。
・学校に対しては、高校進学の観点から中学校への先行設置、小学校については2年設置計画としているが、児童数の多い小学校に優先して設置することで理解を求めた。
※確かに体力や猛暑に対する耐性の観点からは、中学校は後回しで良いように思える。しかし、中学校を先行させることにより、世代間のエアコン設置による恩恵の平等性を確保できる。
・住民には広報あかしなど広報紙で広く理解を求めた。
⑵ 公立幼稚園・保育園
・明石市は「こどもを核としたまちづくり」を進める上で、待機児童解消を最重要課題として取り組んでいる。議会や市民に対しても、常任委員会や広報あかし等において十分に説明を行い、ご理解をいただく努力をした。
10 最後に
エアコン設置の教育効果について、小中学校では夏休みの短縮ができたが、学力向上との相関関係についてまだ検証していないとのことでした。
他方、現場を視察させていただいた幼稚園においては、「食欲増進、意欲増進の効果があった」、「外遊びやプール遊びのあと、保育室にもどると、肌のべたつきが収まるため幼児が自分で着替えができるとの教育効果があった」とのことです。また、「体温の上昇により保護者に緊急の迎えを要請することも減った」との効果があるとのことです。
また、限られた予算のもと、設置が遅れている他園に対する配慮を示しておられました。具体的には、自分で移動することが容易な5歳児はエアコンが設置された大保育室へ避難できるので、エアコンの設置が遅れている、より年少の園児がいる他園への設置が優先されるのもやむを得ないとのことでした。
このような利他の心や、他者の痛みに対する豊かな想像力が、これからの税収の落ち込む人口減少社会においては必要であると考えました。
またエアコン設置と並行して地球温暖化ガス削減、環境課題などの環境教育を行っておられる点も加古川市でおおいに参考にしたいです。
以上