柘植厚人
【豊田市「重層的支援体制」に関する視察報告】
1.視察日
令和7年11月12日
2.視察先
愛知県豊田市
3.視察目的
豊田市が全国的にも先進的に取り組む「重層的支援体制」の実施状況を学び、加古川市における包括的な支援体制構築の参考とすることを目的とした。
4.事業の概要
豊田市では、「安心して自分らしく暮らせる、支え合いのまち」を理念に2024年「よりそい支援課」を発足した。同課は、多様化する社会のニーズに応え、市民が直面する様々な困りごとや課題に対応するため、行政・地域・福祉団体などが一体となって設計された包括的なサポートシステムである「重層的支援体制」を構築した。
- 所感
豊田市の取組は、「抱える課題が複合的故にどこに相談したら良いのかわからない市民に寄り添う」「制度の谷間にいる人をつくらない」という明確な理念のもと、行政と地域が一体となって支援のネットワークを築いている点に深く感銘を受けた。
単なる福祉施策にとどまらず、人と人とのつながりを再構築する社会デザインとして機能していることが印象的であった。
加古川市においても、こうした“地域共生社会”の理念を軸にした重層的支援体制の整備を進める必要があると感じた。
加古川市も以下の各点に重点を置いた政策検討を進めていきたい。
•分野横断的な相談体制の整備
•地域福祉人材の育成と支援ネットワークの形成
•公民連携による支え合い文化の醸成
6.まとめ
今回の視察を通じて、行政が支援を「届ける側」から「共に創る側」へと転換する意義を再認識した。“誰一人取り残さない加古川市”の実現に向け、豊田市の取組を参考に、地域に根ざした支援体制の構築を進めていきたい。
【鎌倉市「学びの多様化学校」視察報告】
1.視察日
令和7年11月13日
2.視察先
神奈川県鎌倉市
3.視察目的
鎌倉市が進める「学びの多様化学校」を視察した。不登校や多様な学び方を望む子どもたちが、自分らしく学び、成長できる新たな教育の形がここにはあると感じた。一人ひとりの個性を尊重し、学校という枠を超えた“学びの再設計”を行う取り組みに深く感銘を受けた。教育とは、子どもを一定の型にはめることではなく、その子の可能性を信じて伸ばすこと。加古川市でも、誰一人取り残さない温かな教育環境づくりを進めていきたい。
4.所感
以下の各点に感銘を受けた。加古川市の学びの多様化学校においても参考として真に課題を抱える生徒に寄り添うものとしたい。
・IKEAの協力のもと、温かみのある室内デザインとなっていた。
・3Dプリンタを駆使してクリエイティブな立体作品を作成していた。
・トイレをはじめ校舎が清潔で美しく自分は大切な存在であると生徒が思える場所であった。
・大きなぬいぐるみ、クッション、ハンモック、雛壇型舞台など、生徒が安心感、自尊心、誇りを醸成できる工夫が随所に見られた。
・繊細な生徒に言葉で緊張感を与えないように様々なリフレーミングがなされていた。例えば下校時に「また明日」と言うと明日も必ず登校しなければならないとのプレッシャーを与える恐れがあるので「またおいでね」と言い換えておられた。
・様々なご職業の方々との交流を通して逞しく生きる力を獲得する教育がなされていた。
・「いずれ全ての学校が多様化学校のような懐の広さを持ち、この多様化学校が不要になる」との教育長のお言葉に強い意志と覚悟を感じた。
・体験的で新しい学びが多い。それを楽しむことで、人と関われることの喜びを回復する仕組みとなっていた。
【藤沢市「放課後児童健全育成事業」視察報告】
1.視察日
令和7年11月14日
2.視察先
神奈川県藤沢市
3.所感
以下の各点に感銘を受けた。
・藤沢市では市の取り組み以前から、市民が自発的に放課後児童健全育成事業を行う団体を立ち上げ運営してきた歴史があった。その民度の高さに驚いた。
・放課後児童健全育成事業に取り組む団体の現場を見学させていただいた際、ちょうど卒業生が多数遊びに来た。彼らが笑顔でスタッフの方に近況を報告している様子から、小学生時代の彼らにとってこの場所がとても大切な居場所であったことが伝わってきた。
・児童の自由な遊びや自主性を重んじる団体や、英国人による英会話のプログラムを提供する団体など多種多様な団体が共存していた。
・利用料も提供サービス内容に応じて設定されていた。習い事に近いが、預かりもしてくれる団体の利用料は、預かりに特化した団体に比べてやや高額となっていた。
・運営団体は、テナント賃借料、リフォーム代、運営費などで県や市から補助金を受けているが、収支バランスをとり経営を健全化するため、保育園にチラシを置いてもらい潜在顧客にリーチし、児童を集める営業努力もされておられた。
・放課後児童健全育成事業に専念して、アルバイトなど副業をすることなく携わるスタッフの方から直接お話しを聞かせていただき、児童に対する深い愛情や誇りを感じ取ることができた。
以上