一般質問振り返り
「持続可能な地域社会の構築を目指して」。
加古川市におきましては、人口流出、少子高齢化により、今後大きな税収の伸びを期待することは難しい。
他方、教育、福祉、老朽化した社会インフラの更新など、行政に対する社会の期待はますます増大している。
これらの社会的課題を解決し、市民サービスを向上する必要がある。
また、加古川市内で力強く経済が循環する仕組みを作り、魅力度を高め、人口流出を止めるとともに、市外からの転入を促したい。
そして、魅力的な雇用を生み出し、イノベーションを起こしたい。
これらを実現するために、加古川版シュタットベルケを導入することを提案する。
シュタットベルケとは、自治体が出資する公益事業体をいう。
現在、日本では、電気、ガス、上下水道、廃棄物処理事業など、さまざまな社会インフラが別個の主体で縦割りで行っている。
他方、シュタットベルケは、電力小売り事業や再生可能エネルギー発電事業のほか、地域に必要なインフラサービス事業を総合的に担う。
ここでは、エネルギー事業などによって得た利益を使い、地域の公共サービスなど地域に必要なインフラサービスを行いつつ、全体最適、全体効率を実現する。
現在、ドイツでは、900から1,000以上のシュタットベルケが市民生活に密着した極めて広範なインフラサービスを提供している。
日本においてもさまざまな社会課題を解決する財源を確保するため、みやま市、米子市、佐那河内村など、多くの地方自治体で、従来エネルギーなどを購入するために地域外に流出していたお金の流れを変え、地域内で循環する仕組みづくりに取り組んでいる。
加古川市内の人口規模に換算すると、電気代の支払いにより、毎年約400億円ほどの富が市外に流出しているものと思われる。
本市においても、この地域的な所得循環を形成することにより上がった利益を教育、福祉、過疎地域における公共交通機関の維持・充実などに回す社会システムを作り上げたいと考えることから、以下の5点について質問する。
小項目1、「市外に流出する富の推計について」。
市外に流出する富の推計を明らかにすることにより、加古川版シュタットベルケを立ち上げることに伴い市内に循環する可能性のある富を算出し、経済的インパクトを明らかにするために質問する。
エネルギーを購入するために加古川市外に流出してる富は年間いくらぐらいと推計されるか、エネルギーの種類別にご教示願いたい。
小項目2、「加古川版シュタットベルケについて」。
先日、私が視察させていただきました佐那河内村では、自治体自ら水力発電事業を立ち上げ、年間850万円から1,100万円の売電収入を得ています。
これは人口約2,300人の自治体にとって少なくない額である。
そして、この収入を農業用施設の維持・管理に充てている。
さらに、発電所のメンテナンス、水路の整備、周辺施設の草刈など、地域雇用を創設しているのみならず、農村地域における低炭素社会の構築に寄与している。
加古川市も持続可能な社会を構築するために、地産地消のエネルギーを活用した地域公共サービスを提供する組織、いわゆる加古川版シュタットベルケの設立が必要と考えます。
ご意見を伺います。
小項目3、「加古川市と民間の共同出資型シュタットベルケについて」。
小項目2のように、加古川市が100%出資することが資金的、技術的、経営的に難しい場合には、加古川市と民間が共同出資して加古川版シュタットベルケを立ち上げることは考えられる。
例えば米子市では、市がイニシアチブを取ってローカルエナジー株式会社を設立した。
しかし、政争により経営がぶれることがないように、つまり、推進派の市長や市議が失脚したことによって経営がぶれることがないように、かつ、民間の技術力や経営力を最大限引き出すために米子市の出資は10%に抑え、残りの90%の株式は地元企業が保有している。本市もこのような取り組みができないかご意見を伺います。
小項目4、「多様なサービスの提供について」。
みやま市と地元企業が出資して設立されたみやまスマートエネルギーにおいては、再生可能エネルギー事業による発電・売電によって得た利益を使い、高齢者の買い物サポートなど、福祉、住民サービスを充実させている。
また、同市では、各家々にスマートメーターを設置し、電力の使用パターンが普通と異なる場合には安否確認するといった高齢者見守りサービスを実施している。
加古川市においてもこのような取り組みができないかご意見を伺います。
小項目5、「まちづくり条例制定について」。
近年、加古川市では、豪雨、酷暑など、地球温暖化に伴う気候変動の被害を受けている。地球温暖化の主たる原因は温室効果ガスにあると推測される。
我が国においても、低炭素社会づくり行動計画の中で2050年までに温室効果ガスの排出量を現状から60から80%削減する目標を掲げている。加古川市においても、脱炭素社会に向けた着実な取り組みが求められている。
したがって、仮称「地域エネルギーを生かす加古川のまちづくり条例」を制定する必要があると考える。ご意見を伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。
ご静聴ありがとうございました。