令和 2年 第3回定例会(第2号 6月10日)一般質問振り返り
 
(登壇)   
 
皆さん、こんにちは。通告に従い、質問させていただきます。
 
 「未成年の保護観察対象者の住居確保について」。
 
 加古川市再犯防止推進計画によると、加古川市における刑法犯認知件数は減少傾向にあるにもかかわらず、検挙者数に占める再犯者の割合、つまり再犯者率は増加しています。
 
これは全国的な傾向です。
 
この傾向を受けて、平成28年に施行された再犯の防止等の推進に関する法律第4条第2項において、地方公共団体は、再犯の防止等に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地域の状況に応じた施策を策定・実施する責務を有すると規定され、また、同法第5条第2項においては、国及び地方公共団体と民間団体その他の関係者との緊密な連携協力の確保に努めなければならないと規定されています。
 
 私は、保護司として活動させていただく中で、保護観察対象者が抱える課題と向き合ってまいりました。
 
保護観察対象者が再犯を犯すことなく立ち直るためには、メンタルケア、就労、金銭等様々な要素に対する配慮が必要でありますが、とりわけ安心安全な住居の確保が必要であると痛感しております。
 
確かに、各種団体の施設など保護観察対象者に対して居所をご提供くださる団体は存在しています。
 
しかし、保護観察対象者が真に立ち直るためには、家庭的な温かさの中で自分は慈しむべき大切な存在であることを心の底から確信する必要があると考えます。
 
保護観察対象者の住居確保に際しては、保護司が、その人脈を活用して探しているのが現状であります。
 
しかし、この限られた人脈では、適切な住居を見つけることができない場合が少なくありません。
 
仮に見つかったとしても、その善意の方に負担が集中する傾向にあります。
 
例えば、ご高齢の方が自宅の一室をご提供くださったとしても、未成年である保護観察対象者と大きな年齢差があることに起因した生活スタイルのそご、例えば、起床時間やスマホとの向き合い方などの大きな違いからストレスがたまり、早晩、同居困難になる可能性があります。
 
このような社会背景のもと、保護観察対象者に継続的に安心安全な住居を確保し、再犯を防ぐためには、可能な限り多くの市民の協力が必要と考えることから以下の質問をさせていただきます。
 
 加古川市がイニシアチブを取り、子育てが終わったばかりで、未成年者と同居する感覚が鈍っておらず、体力的にもまだ余裕のある夫婦などに広く協力を要請し、協力が可能な家庭をデータベース化し、保護司から協力要請があった場合に住居確保のマッチングに協力することを希望することから質問させていただきます。
 
 市主導による保護観察対象者の住居確保の具体策についてどのようにお考えか、ご所見をお聞かせください。
 
 以上で、最初の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
 
【答弁】
 
 「未成年の保護観察対象者の住居確保について」ですが、矯正施設などの出所後、適切な住居を確保できない場合には、地域での生活基盤が安定しないことから再犯につながりやすく、住居の確保は就労の確保とともに重要な課題となっております。
 
国の再犯防止推進計画では、住居の確保策として、矯正施設在所中から出所後の生活環境の調整を行うことや、更生保護施設などの一時的な居場所の充実に加えて、地域社会における居住先の確保がうたわれております。
 
 本市におきましては、本年3月に策定した加古川市再犯防止推進計画の中で、住宅確保要配慮者の入居を拒まない民間の賃貸住宅の登録促進など、個々のニーズに合わせた支援を行っていくこととしております。
 
未成年者の場合、まずは家庭での生活を目指すべきものですが、これが難しい場合、児童相談所などの専門機関に相談の上、自立支援ホームや自立準備ホームなどの施設で支援を受けることができます。市としては、ご提案の一般家庭での受入れは様々な課題があるため、引き続き、これらの支援の情報が必要な方へ伝わるよう、矯正施設や保護観察所、保護司との連携を強化していきたいと考えております。
 
 以上で、答弁を終わります。
 
【再質問】
 
今のご答弁の中で、賃貸やホームなどのお話がありましたけど、もちろん未成年ですから、賃貸の支援があっても、自分では借りることはできず、しかも実家の両親との関係がまずい場合は、その両親の支援のもと、アパートを借りることも難しい状況になります。
 
また、ホームについて様々な施設がありますが、そこはいずれも大部屋で、とてもそれぞれのプライバシーが確保できるかどうか難しい状況であるだけでなく、やはり本人たちの切実な声を聞いていると、どうも本当にお父さんやお母さんのような存在の家庭的な環境で育ちたい、一時的であっても、そういう環境を体験してみたいという切実な声があると聞いていますというか、私自身、直接本人から聞いているんですけれども、そのことについて、もう少し踏み込んだご答弁をいただけないでしょうか。
 
【答弁】
 
保護司のお仕事をされる中で、個々の、特に未成年の方に接しておられる中では、様々な家庭の問題等も見えてきて、その子の生い立ちなんかにも深く思い至らせることがあると思います。
 
それについては、私どもも非常に敬意を表したいと思うんですが、こうした保護自体については、やっぱり第一義的な責任というのは国にありまして、市としても非常に歯がゆいところなんですが、矯正施設の入り口、中、出口、全てを通じて、その方を支えていくという仕組みづくりが必要でございまして、特に、今、矯正施設そのものの中でも改革が進んでおります。
 
例えば、接見交通について、ご家族と接見交通する機会をできるだけ増やすようなことをされたりとか、それから、当然ご本人に対しては、施設にいる間に住むところを見つける、あるいは職業に就くための訓練をされるということを中で強化されていますし、それから、ご家族の保護者会というような取組もされております。更生保護に責任を持っておられる国としては、そういった具体的な施策に取り組むことができるわけですが、我々市としては、出口を出てこられた方、いろんな方がいらっしゃるのは確かに存じ上げておりますが、その方一人一人に寄り添った施策というのは、なかなか法律、あるいは施策という平均的なところしか取ることができないので、非常に難しいです。
 
そこを埋めていただいているのが保護司の制度ということであると思うんです。
 
もともと更生保護の制度というのは、明治13年に金原明善さんが始められた慈善活動の中からスタートして、保護司制度も生まれてもう140年になります。
 
これは、一昨年100周年を迎えた民生委員制度と同じですが、要するに、福祉の制度の中にはどうしてもはざまがありまして、埋めていけないところがある。
 
その部分を埋めていただくのが民間の篤志であるということで、法が整備されても、いまだにこの制度だけは存続して頼りになっているという制度でございます。
 
 そういうことを含めて考えますと、行政が一律にご家族の方に恵まれていない方がいらっしゃるからどうですか、お世話されませんか、一緒に住んでいただけませんかということで、手を挙げられて、そういった方を登録するというような仕組みではないと思っております。ですので、むしろそういった方については、保護司のネットワークの中で、もしそういったことがデータベース化されるんであれば、それについてご協力できるところがあれば、お話をいただければ、ご協力させていただきたいと考えております。
 
【再質問】
 
私も当初は、今のご答弁のとおり、あくまでも保護司が自分の人脈を活用して見つけてくるのが原則だなということで、一生懸命電話をして、知り合いに頼んで回ったんですけれども、やはり突然の話であるということと、やはり特別養子縁組みたいに、幼い子どもを預かって、自分の好みのようにすくすくと素直に育てるというような状況ではないということから、やはり民間の個人の保護司や保護観察官のネットワーク、努力ではいかんともし難い点があります。
 
そういうことを踏まえて、ぜひ最後に要望させていただきたいんですけれども、実際、この加古川市においても、この壮絶な家庭環境の中で、暴力や性犯罪に日常的にさらされている未成年者というのは相当数いると思われます。
 
そういう子どもたちは、非常に危ういバランスのもとで保護司や周辺の大人たちをよく観察して、本当に自分たちが社会や大人を信じていいのかどうかということを非常に日々刻々と利害調整というか、そういうことを考慮して考えております。
 
こういった子どもたちにほんのひとときでもいいから、温かい家庭環境を味わっていただき、反社会集団に取り込まれたりするということはないように、これは決して、別にヒューマリズムとか優しさとかいう問題だけでなしに、将来の行政コストの削減という観点からも非常に重要だと……
 
 
 
 
 
 
 
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