宝塚市出張調査研修報告書

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第1 視察(調査)項目
いじめに関する実態調査によると、いじめられた経験がある方、いじめを目撃した経験がある方の99.1%が「学校でいじめが行われている」と回答している。              
加古川市においても中学校におけるいじめを原因とする悲惨な事件がおきた。        
文部科学省による平成29年度の調査結果によると、小中学校、高校、特別支援学校におけるいじめの認知件数は41万4378件と、前年度より9万件以上増加し、過去最多となった。                              
また宝塚市を始め複数の自治体において、いじめ防止等条例が制定されている。これらにより、人の痛みがわかる子が育つ等の一定の効果が期待できる。                                       
したがって私は、加古川市においても、「いじめ防止条例」が必要であるとの一般質問を昨年12月の議会で行った。
この問題意識から、いじめ等防止条例制定について先行している宝塚市の状況を視察させていただいた。

第2 復命事項(所見及び感想)
以下は私の質問事項と、それに対する宝塚市ご担当者様のご回答および私の感想である。

1 条例制定の経緯について
平成25年9月にいじめ防止対策推進法が施行された。
同法においては、以下の点が規定されている。
・国及び地方自治体等の責務の明示
・いじめの防止等のための基本的な方針の策定
・いじめ防止等のための組織の設置
宝塚市は、同法12条に基づき、市等の責務及び役割を明記し、いじめ防止基本方針を策定すること、いじめの防止対策委員会を設置することを条例で定めた。

2 条例の内容、特徴について
第1条 目的
第2条 用語の定義
第3条 基本理念
第4条 子どもの役割
第5条 市の責務
第6条 市立学校及び市立学校の教職員の責務
第7条 保護者の責務
第8条 市民の責務
第9条 市基本方針の策定
第10条 学校基本方針の策定
第11条 相談体制の確立
第12条 宝塚市いじめ防止対策委員会
第13条 市立学校以外の学校への強力要請
第14条 委任

3 条例制定の効果について
条例制定により、いじめの認知件数が激減したとの効果は認められていない。ただしこれまで軽い悪ふざけとして処理されていた事案が、被害者の心に寄り添うことによりいじめとして認定されるようになったと思われる。したがって、いじめの認知件数が減少しないことの一事をもって同条例制定の効果を否定することはできないと考える。

4 今後の課題について
・いじめ防止に市全体で取り組んでいることをリーフレット等で周知していきたい。
・いじめられている子どもに向かって定期的にメッセージを発信しているが、自分たちが守られていることを伝えきれていない。
・主体的に自分たちもがんばろうというメッセージを発信しなければいけない。
・今後も立ち止まることなく常にメッセージを発信していく。

5 罰則規定について
・本条例に罰則規定はない。学校、教職員は法によって責務が規定されている。
・罰則を制定するとなると、どの部分まで罰則を適用すべき、いじめとして認定するのか問題が生じる。

6 会社等大人社会のいじめ対策について
・教育委員会の所管外のため、本条例には規定はない。

7 学校現場の声について
・条例自体の評価について学校現場の声を聞く機会はない。

10 最後に
・いじめ防止教育を中学生が小学生に対して行う取り組みがなされていることに感銘をうけた。年齢の近いお兄さん、お姉さんが真剣に「いじめは絶対に許されない」と訴えることは、小学生にとって高い教育効果が期待できると考える。
また、中学生にとっても、小学生を教え、導くことにより、自覚が深まり、大きく成長するものと考える。
市民が市民に地域課題を語る機会を設けるという手法は、いじめ防止に限らずその他の現代的課題解決の有効なメソッドであろう。
・いじめられている児童、生徒が希望すれば転校することにより心機一転する機会を与えることも大切であると考える。
・宝塚市教育委員会の方々の、真剣な受け答えや、いじめ防止に向けた真摯な姿勢に感銘をうけた。
・昨年12月の一般質問でも述べたが、学校のいじめ問題について私が語るとき、人間が海に流した重金属が食物連鎖を繰り返すうちに凝縮され、最後に毒素が凝縮された魚を食べた女性から生まれた赤ん坊の神経に取り返しのつかないダメージを与えることを想い起させる。
大人社会の負のエネルギー、たとえば嫉妬、劣等感、不誠実さ、過度の競争心、怠惰、他者の痛みに対する無関心等が、弱い立場の人に連鎖、凝縮されていく。
そしてそれが家庭にはいり、いじめっ子に不合理なストレス、ゆがんだ感情を与える。
そのゆがんだ感情の最後の矛先が、もっとも心優しい児童生徒なのである。
この心優しい児童生徒は、親に心配をかけたくない一心で耐え、心身が徐々に破壊されていく。
誤解されることを覚悟であえて言わせていただくと、大人社会の負のエネルギーが凝縮されたものの最終的な受け皿となり、それでも、さらに弱い存在を探し、攻撃することのない、いじめられっ子はある意味、もっとも強く英雄的な存在といえるかもしれない。
このように学校におけるいじめを解決するためには、大人社会の負のエネルギーを生んでいる根本的な間違った考え方を解決する必要がある。
この事実を認識すると、とてつもない無力感に襲われる。
しかし、我々が無力感にとらわれ立ちすくむことは許されない。なぜなら、今日この瞬間にも、学校で無視され、暴力を受け、物を隠され、人間性を破壊されている児童生徒がいるからである。私の支援者の方も小中学生時代に、服をすべて脱がされる、高い場所から突き落とされる、神社の境内で多数の者に殴られるなどの凄惨ないじめを受け、心が徐々にすり減ってしまった。
学校におけるいじめは、大人社会の負のエネルギーの凝縮であることから、私達すべての大人の責任であり、まさに自分事である。
したがって、加古川市においても、強い信念をもって精一杯の施策を打ち続けることを切に願う。                                 以上

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