みやま市(みやまスマートエネルギー株式会社)出張調査研修報告書

みやま市(みやまスマートエネルギー株式会社)出張調査研修報告書

視察(調査)事項
みやま市においては、従来エネルギーを購入するために年間30億円以上のお金が地域外に流出していた。これは、人口約3万7千人と小規模で、青果栽培を主たる生業とする同市にとって少なくない金額である。また同市は過疎化、人口流出、少子高齢化に悩まされています。
これらの地域課題を解決するため、同市はエネルギーの地産地消により、従来地域外に流出していたお金の流れをかえ、地域循環型経済を創るため、みやまスマートエネルギー株式会社を設立した。

以下は私と同市の御担当者様との質疑応答です。
1 雇用者数
 みやまスマートエネルギーの雇用者数は約30名
 みやまパワーホールディングスの雇用者数は約20名
2 電力事業の契約数
 約700~800件
3 バイオマス事業の採算性について
 液肥の施設内利用、ごみの減量、循環型社会を創ることが目的であり、収益目的でない。
市民のために無料で肥料をまいている。
4 みやまスマートエネルギーの経営状況
 3年目の平成29年度、売電事業は黒字化に成功した。
 高齢者見守り、買い物支援、さくらテラス(飲食業)などは赤字。
5 利益相反について
 みやまスマートエネルギーの社長が関係各社と利益相反にならないように、取締役会において決議に参加しないなど注意している。
6 電力の需給管理について
 アパートの一室で行っている。
 訓練をうけると地元市民の雇用になりうる。
7 高齢者見守りサービスについて
 スマートメーターにより、電力使用パターンの変化を察知すると近親者などに連絡をする。また緊急通報時は担当者が駆け付ける。
8 2070世帯のモニターすべてに専用タブレットを配布したのか
 はい。財源は国の補助金。
9 みやまスマートエネルギー株式会社の出資比率について
 みやま市が55%、筑邦銀行が5%、九州スマートコミュニティが40%。
10 市の出資比率が高い理由について
 市の本気度を示すため。
11 市から赤字補填しているのかについて
 市からの赤字補填はしていない。
12 市長選挙が来週実施されるが、その影響について
 いずれの市長候補も、みやまスマートエネルギー株式会社に対して、理解があるため、大きな影響はないと予想される。
13 「なんでもサポートすっ隊」の採算性について。
 市民の各種お悩みについて、適切な機関にとりつぐ運営を予定している。ただし実際の利用はあまりない。

復命事項(所見及び感想)
1 電力全面自由化前の平成27年から事業を開始されておられる先見性、勇気に感銘を受けました。
2 電力事業で得た利益で、高齢者見守りサービスや買い物支援サービス、飲食業、物産販売事業など意欲的な事業展開をされておられる点、加古川市でも見習いたいです。
3 電力事業単体では黒字を確保されておられますが、幅広い住民サービスの向上にコミットしているため経営に苦労されておられる様子でした。
4 西原市長のトップダウンにより始まった事業とのことです。市長の強力なリーダシップが社会を変えていくのだということを実感いたしました。
5 今週、みやま市長選挙が実施されます。選挙公報によると、いずれの候補者もみやまスマートエネルギー株式会社に対して、否定的な立場を表明していません。しかし、各候補毎に温度差があるようです。選挙結果が今後の同市のエネルギー政策にどのような影響を与えるのか注視していきたいです。
6 みやまスマートエネルギー株式会社の55%という過半数の株式をみやま市が保有していることについて。同市のエネルギー事業に対する本気の姿勢を示しています。しかし、この事実は、市長が交代すると、同事業の経営方針にぶれが生じるおそれがあります。この点に対する配慮から逆に市の出資比率を下げることも、同事業推進のために必要かと思いました。
7 地域循環型経済の構築による各種地域課題の解決、大震災によるエネルギー供給の途絶や、国際的なエネルギー価格の変動の影響を抑制すること、地球温暖化ガス削減のために、加古川市でもエネルギーの地産地消を進めていくべきと考えます。ただし、エネルギー政策の失敗は市民生活に大きな打撃を与えるおそれがあります。したがって拙速にならないように冷静に進める必要があると考えます。                   以上

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